ウィルグループは、「ウィルグループHRTechアクセラレータプログラム」のDemodayを2019年10月18日ウイングアーク1stにて開催した。採択された5社が3ヶ月間に渡りメンタリング等の支援を受けながら取り組んだ成果を発表した。
以下に、採択企業5社の発表内容を、ピッチ登壇した順に紹介。
ハマれる副業プラットフォーム「kamakura」。
副業は8兆円マーケットと規模もあり、厚生労働省も副業解禁をして、さらなる成長が見込める市場だ。副業に関するサービスも多くリリースされているがkamakuraが対象とするのはビジネス職の若手。プラットフォームとしての特徴は、時間や報酬などの条件ではなく、先に一緒に働いてみたい相手かどうかでお互い判断する点と、マッチング後に双方で業務内容を決めることができる点にある。
マッチング精度と案件成約率は自然言語処理技術や案件の蓄積などを通じて高めていく予定だ。
コーポレートサイト:
https://matabi-tech.com/
ノリスケ採用管理は採用業務における日程調整の効率化に特化した採用管理システム。
ATSの機能はもちろんのこと、採用メディアからの応募者情報自動取得や求人サイト作成機能なども実装している。ノリスケの強みは日程調整にある。
応募者があった段階で自動で日程調整のメールを送ることもでき、日程調整チャットボットで自動で行う。さらにメールを送る段階でのスクリーニングやチャットボットで追加で質問を投げかけて求人条件にあった人物との面接の設定をサポート。
Demodayで力を入れたテーマは「受注」で、メンタリング期間中に大手企業を含む受注を達成している。導入企業では日程調整時間を98%削減できており採用業務の生産性向上に寄与したという声もあったという。
サービスサイト:
https://noresuke.io/
KAKEAIは、ピープルマネジメントをサポートするSaaS。
個人の力に依存しているピープルマネジメントをAIと仕組みでサポートする。
実効性の低いマネジメント研修や、日常業務に活かせない人材アセスメント、個人力任せの1on1などマネジメントと言われると耳が痛い人事担当者もいるのではないだろうか? KAKEAIは、1on1時のひとりひとりの部下に対する適切な接し方のレコメンド機能や、1on1の履歴をKAKEAIに残していくことでマネジメントのナレッジを組織に蓄積、蓄積した事例などを他のマネージャーに展開することや、人事や経営が支援すべきメンバーやマネジャーを特定することなどができる。
導入している企業ではナレッジの蓄積・展開とレコメンド機能が好評のようだ。
サービスサイト:
https://service.kakeai.com/
本プログラム期間中にベータ版をリリースしたAbroad Career。 日本で働きたい外国人向けのキャリアプラットフォーム。
外国人特化の採用情報の掲載、日本で働いている外国籍就労者による企業のレビューや、求職者がレビュワーに質問ができる機能などがある。日本で働きたい外国人が意思決定をするために必要な情報をビジュアルでわかりやすく提供しているのが特徴だ。
すでに立命館アジア太平洋大学の留学生コミュニティでテストを実施しており、先輩社会人レビューが一週間で250件も掲載されたという。日本で働きたい外国人と外国人の力を必要とする日本企業との情報の非対称性を解消するサービスとなることを期待したい。
コーポレートサイト:
https://www.abroad-jp.com/
近年労務リスクは増すばかりだが、労務に関する業務は広範囲にわたり専門知識が必要だ。
「HRbase」は、中小企業の労働環境を整備し、労務トラブルを防ぐためのサービスだ。すで 15分間の質問に答えるだけで就業規則ができる「HRbase就業規則」をリリースしている。今後は労務相談、社内書式作成、タスク管理などをWeb上で完結できるサービスを提供予定で、従来社労士が担ってきた業務のアップデートを目指す。
サービスサイト
https://hrbase.jp/
HR Techナビが2019年10月15日に公開したHR Tech業界カオスマップでは449のサービスが掲載されており、毎月のように新サービスが発表されている。
これからサービスを出す領域は限られてくるのではないかという思いもあったが、Demodayに参加して感じたことは、
「副業のマッチングサービスの中でビジネス職の若手がやりたい案件がない」「採用に力を入れれば入れるほど候補者との日程調整に時間がかかる」
「社内のマネジメントのナレッジが属人化している」
「日本で働きたい外国人にとって必要な情報がまとまっている場所がない」
「社労士にが担っていた労務環境整備やトラブルを防ぐHR Techサービスがない」など起業家の独自の視点で課題を発見することでサービスとして受け入れられる余地は十分にあるということだ。
今回のプログラム主催のウィルグループの坂本本部長へ、今後のHR Techの取り組みについて聞いたところ
「今年7月に開催したJapanHRTechConferenceも新たなテーマを掲げ来年度も開催できるよう現在着々と準備を進めています。またアクセラレータプログラムの開催は未定ではありますが、ウィルグループとして注力したい分野をより細かくテーマを絞って行うことでよりウィルグループとのシナジーや、アクセラレータ参加企業同士でのシナジーが生まれ、面白いこことができるのではという感覚を得ています。」と語った。