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#となりのHRTech〜リカー・イノベーション株式会社の場合~

人事を支えるHR Techサービスの可視化をテーマに企業人事担当のみなさまへ取材をする「#となりのHRTech」企。今回は、店舗事業を手がけるリカー・イノベーション株式会社 経営管理部人事の牧田 拓也さんにお話を伺いました。

飲食業界は、人材不足、労働環境の悪化、高い離職率など、多く課題を抱えています。そんな中、「日本のお酒に新しい価値を作る」をビジョンに掲げ、店舗事業・酒類小売業・卸売業・メディア事業を手がけるリカー・イノベーション株式会社は、どんなHR Techサービスを活用されているのでしょうか。

インタビューした企業:リカー・イノベーション株式会社
https://liquor-innovation.co.jp/
「日本のお酒に新しい価値を作る」をビジョンに掲げ、店舗事業・酒類小売業・卸売業・メディア事業を手がける。
社員数:約120名(正社員20名/アルバイト約100名)
人事数:1名
インタビューした人:牧田 拓也さん

  

採用には「Wantedly」

採用には「Wantedly」を利用。

Wantedlyは、月間200万人が利用するビジネスSNSで、有名企業やベンチャー・スタートアップなどの様々な企業/人材と繋がることができます。

「Wantedlyを使う理由は2つあります。1つはコスパが良いことです。

月間3万円で、求人募集を制限無く出せることや、応募も弊社として来てほしい人材が多いので、そういう点でコスパが良いと思っています。

もう一つは、Wantedlyは、ビジョンやミッションなどの思いベースで人を誘う求人媒体だと思っており、そういう所が弊社と合っています。

給料や福利厚生などで人を惹きつけたいわけではありません。
福利厚生を重要視するのであれば、純粋に大手に行けばいいと思います。

スタートアップならではの、熱い想いや弊社のビジョンに共感できる人に来て欲しいので、そこを考えると、Wantedlyが一番相性がいいかなと思ってます。」(牧田さん)

また、牧田さんは現在利用中の「Wantedly」に加えて、優秀な人材に直接アプローチ可能な成功報酬型の求人メディア「Green」の利用も考えているとのこと。

「Wantedlyだけだと、いろんな職種を出していても、全職種を採用できません。

会社としても、ダイレクトリクルーティングを検討していかないといけないよねってジャッジになったので、ピンポイントで職種絞って、まずは営業職をGreenに求人を出そうかなと思っています。」(牧田さん)

こういった採用・求人サービスの導入は、比較的スムーズに進んだとこと。

「私の上長が、経営管理部と取締役の兼任をしています。

ジャッジ自体は必要なんですが、基本的に私が選んだものはOKになります。

一応承認は取りますが、事実上自分がプレゼンをして、こういう理由でこのサービスにします。いいですか?駄目ですか?という会話をするぐらいですね。」(牧田さん)

  

労務管理領域は「ジョブカン勤怠管理」と「ジョブカン給与計算」と「Money Forward クラウド」

労務管理領域では、「ジョブカン勤怠管理」「ジョブカン給与計算」「Money Forward(MF)クラウド」の3つを利用しているとのこと。

ジョブカン勤怠管理は、クラウド型勤怠管理システムで、勤怠管理業務の全てを網羅しており、シンプルなデザインで誰でも利用できるのが特徴です。導入企業数も30,000社を突破しました。

ジョブカン給与計算は、給与計算担当者の負担を減らすために、豊富な機能を持ったクラウド給与計算システムです。

MFクラウドは、バックオフィスの面倒な業務を効率化するサービスで、経理や人事労務などバックオフィスに関するデータをクラウドで連携することができます。

従業員情報管理において、アルバイトはGoogleスプレッドシート、社員はMFクラウドで管理しているとのこと。

また、ジョブカンはアルバイト、MFクラウドは社員に利用しているとおっしゃっていました。

牧田さん曰く、ジョブカン勤怠管理を選んだ基準は、アルバイトでも使いやすいかどうか、連携(紐付け)ができるかどうかとのこと。

「ジョブカン勤怠管理を使っている理由は、アルバイトでも使いやすいからです。飲食店はアルバイトの数も多いので、アルバイトでも使いやすいかどうかが判断基準になります。

ジョブカン給与計算を使うのは、ジョブカン勤怠管理との連携をしていて、紐づけが楽だからです。

MFクラウドは、社員の給料計算と会計に使っています。

それこそ私の上長が使っていて、紐づけると社員でも使いやすいので、MFクラウドにしています。」(牧田さん)

労務管理サービスは、過去に上長が人事労務freeeを使っていたとのことですが、利便性があまり良くなかったため、利用を辞めたとおっしゃっていました。

  

社内の情報共有は「Chatwork」。「Workplace」は試験的運用中。

 「Chatwork」は、メッセージのやりとりだけでなく、タスク管理やファイル共有、ビデオ通話などが可能なクラウド型ビジネスチャットツールです。

しかし、Facebookが提供するチームコラボレーションツール「Workplace」への移行を考えており、現在は試験的にWorkplaceを運用しているとのこと。

Workplaceは、Facebookの機能を使ったオンラインの仕事用チームコラボレーションツールで、社内のコミュニケーションを促進することができます。

ChatworkからWorkplaceへの移行の理由を次のように語ってくれました。

「一番は、Chatworkは一つ一つの投稿にいいねやコメントがつけられないことです。

Workplaceは、元がFacebookなので、投稿一つ一つにいいねやコメントが付けることができます。反応があるので、記事を投稿した時に、その投稿を、皆がちゃんと見ているかどうかがわかります。もちろんWorkplaceでもいいねやコメントをしないとわからないんですが。

また、役員陣が皆のタメになると思う記事を投稿した時に、それが結局どれだけの人に見られていて、どれだけの人から反応があったのかというのがわからないと、そもそもどういう記事を流せばいいか検討ができません。

PDCAが回せないので、そういう所がChatworkだとできない懸念点から、Workplaceを試験的に導入しています。Facebookは皆使い慣れているし、使いやすさを見ても、そんなに問題は無いだろうという認識です。まだ試験的運用段階なので、正式に採用になるかはわかりません。」(牧田さん)

それ以外のコミュニケーションツールの検討、もしくは使ったことがあるかをお聞きしたところ、

最初はSlackを使っていたが、横文字なども多く、店舗のスタッフさんたちが使いこなせないという問題もあったため、Chatworkに移行したとのこと。

「私が入社した時からChatworkでした。ただ、最初はSlackを使っていたみたいです。

Slackって海外のサービスなんで、横文字が多いです。

私や本部の人間は、こういう情報共有ツールに詳しいんで、Slackでもいいんですけど、店舗の人間は、そもそもそういった情報共有ツールを使いこなせる人があまり居ません。Slackとかだと横文字や英語とかが多くて、よくわからないみたいな。

だからあまり機能しなかったらしくて、使い方を一から説明しないといけない、という工数が時間の無駄になるのでChatworkに移行したみたいです。」(牧田さん)

  

採用方針について

店舗が正確に運営されている状態をつくることを前提に人員配置を考え、それに適応できる人数を確保するとのこと。ただ展開する店舗の大きさによって必要な人数は変わるので、採用人数などは計画には落とし込めないとのこと。

「正社員は、営業とデザイナーとカスタマーサポートとメディア編集長とマーケッターをそれぞれ1名ずつ採用したいと思っています。

あとは各店舗の店長です。今は間に合っていますが、店舗展開時には必要ですし、 店長だけじゃなくて、アルバイトの採用も必要ですね。」(牧田さん)

  

エンゲージメント領域は利用していない。

エンゲージメント領域のサービスは利用していないとのこと。

「会社の規模を考えても社員全員目が届く範囲なので、ツールを使うフェーズではまだ無いですね。」(牧田さん)

また、飲食店で働くアルバイトのエンゲージメントについて尋ねると

「今はそれこそ、店舗も関東圏だけなので、目が届くんですけど、今後全国的に展開していくことが想定されているので、そうなってくるとそもそも目が届かないというところでエンゲージメントの話が出てくるとも思うので、そうなったら検討はするとは思うんですけど、現状はまだその領域ではないですね。」(牧田さん)

  

気になっているHRTechサービスは「Talentio」

Talentioは採用管理システムで、選考の一元管理や採用効果などを分析できるサービスです。

「私たち自身はサービスを利用したことはありませんが、友人の人事から紹介されました。理由は、少数規模でも使い易いとのことで、フリープランでも規模の小さい企業ならどうにかなると聞きました。

純粋にフリープランでも使い勝手がいいんだったら、使ってもデメリットないなと思うので。」(牧田さん)

ただ現状、採用管理ツールを利用をする必要性は感じておらず、牧田さんが作ったエクセルで管理が十分とのこと。

しかし、様々な採用・求人サービスやエージェントを使っていくと、各方面でコミュニケーションが発生するため、店舗や会社の拡大に伴って必要となるツールだと想定しているようです。

「このままいけば早くて半年後とかには使っている可能性がありますね。遅くとも1年後には使ってるイメージがありますね。」(牧田さん)

  

HR系の情報の収集方法

牧田さんが運営している若手人事のコミュニティーがあり、そこで情報を収集しているとのこと。

コミュニティーには、労務担当や採用担当や人事評価担当など、様々な業務を担当している人事の方がいらっしゃるそうです。ただ、コミュニティは情報共有が目的ではないとのこと。

「コミュニティの目的は、端的にいうと、若手人事の立場って、人事全般に言える話かもしれないんですけど、なかなか社内で愚痴も言いにくいですよね。そもそも人事は愚痴を聞く側なので。

その人の担当によるかもしれないですけど、私みたいに人事業務を全部やっていると、基本的に案件は全部私に飛んできます。、私自身が不満とか不安があったとしても、それを社内で言えるかというと、ほぼ言えません。

また、相談したところで解決されるわけでもないので、それならばこういう社外のコミュニティーで、社内でこういうことがあるんだよねって話を、解決まで至らなくても、共有できる場を作ると、気持ちはめちゃめちゃ楽になると思って作りました。」(牧田さん)

  

HRTechサービスに望むこと

「これは我々の業界柄の話になるんですけど、基本的にこういうツールは、IT系の会社に向いていて、リアルベースの飲食店とかを持っている会社向きには作られていないと思っています。

人事は使えたとしても、現場に落とし込めたりとか、使いやすいかというと、多分そんなことは無いと思います。

強いて言えば、ジョブカンなどは飲食店に導入されているので、それで管理はできるかもしれないですけど、逆にいうと飲食店とかサービス系の企業に向けたものはそこまで無いと思います。

なので、飲食業向けのサービスがあったら、飲食系の企業は相当助かるのでは?と思います。

飲食系は小さいところだと店舗だけの所もありますけど、基本的には本部機能と店舗機能がどうしても分離をするので、それでも一つのサービスで完結できればば良いなと思います。

やはり、本社でHRTechサービス使って、店舗では使わないのかってなるとそれもめんどくさいので、本社も店舗もお互いがちゃんと使えるようなツールがあればいいですね。」(牧田さん)

2019年4月より「働き方改革法」が適用、慢性的な人手不足などを背景にHR Techサービスの利用は今後も増えていくと見込まれます。市場が大きくなるにつれて飲食業や小売業向けのHR Techサービスという業界に特化したサービスも増えていくでしょう。

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