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エンジニアのスキルを可視化した新しい育成・評価の在り方とは?

かつての「IT企業」の多くが、「テクノロジー企業」へと変化し、また、IT部門のインハウス化を進めていく企業が増えつつある現代、今までエンジニア評価をする機会のなかった人事担当者や多くのエンジニアを評価することになる開発部門の担当者は、これまで以上に忙しくなりそうです。今回は、エンジニアのスキルチェックサービス「track(トラック)」を提供する株式会社ギブリー執行役員の山根淳平さんにお話をうかがいました。

―サービスの概要について教えてください。

私たちは、エンジニアのプログラミングスキルを正しく見極めるために、実務力の可視化を実現するためのクラウドサービス「track」を提供しています。すでに導入60社、IT・通信だけでなく、製造業/メーカー、保険、金融などの業界でも活用が進んでいます。

エンジニアのプログラミングスキル評価に必要な50以上の問題が用意されており、ジャンルも、アルゴリズム、Webアプリケーション、インフラ、セキュリティ、AI、ブロックチェーン、IoT系などと多岐にわたっています。それらのなかから、自社の技術レベルに合わせて問題を選択すれば、テストの配信・受験・自動採点・評価をすべてオンライン上で行うことができます。

自動採点機能によりコードを点数化するため、開発経験のない人事の方でも、エンジニアのスキルを把握しやすくなりますし、受験データを資産とし、自社に必要なエンジニアスキルの標準点を明確化することで、技術的なミスマッチを減少させられます。


trackサービスサイト(https://tracks.run/enable/about-track/)より

この10年間でスマートフォンの普及により、多くのOS環境や言語への対応が求められるようになっています。エンジニアが必要とされるシーンは増えているものの、技術変化に適応するために、自分で学習方法を体得し、変化に対して柔軟にキャッチアップできるようなプロフェッショナルなエンジニアは現状不足しています。最近は質の高い学習コンテンツや教材が増えていて、エンジニアの母集団が増える構造にはなってはきていますが、先ほど申し上げたようなプロフェッショナルな質の高いエンジニアを増やしてくという点では役割が異なります。

そこで、まずは自分の立ち位置を知るための試験から提供を始めました。組織内外のエンジニアのスキルを可視化して、最適な組織づくりができるようスキルチェックツールを開発いたしました。

サービス名称をcodecheckからtrackに変更したのも、絶えず先端技術を学び成長を追い求めるエンジニアはアスリートそのものであると私たちは考えており、そういったプロフェッショナルなエンジニアが活躍できる環境を増やし、エンジニアの自立を応援するサービスを提供したいという思いがあったためです。

―サービスを利用しているユーザーに特徴や傾向はありますか?

サービスの営業本格化をして約1年ですが、当初は、LINE 社、Microsoft 社など、IT企業が主なユーザーでしたが、最近では、製造業や金融系などのIT企業以外の会社にも導入されるようになりました。この背景には、IT企業に限らず、様々な業界でエンジニアが必要とされるようになった、というビジネス環境の変化があると思います。

 

―ユーザー企業がサービスを利用するシーンは、採用分野が中心ですか? 

最近では、採用にとどまらず、研修などのシーンで、エンジニアのスキルアップを目的とした社内アセスメント領域にも拡大しています。特に若手エンジニアの教育にフォーカスした活用が多くなっています。教育効果を可視化し、正しい方向を向いたフィードバックを行うことで、若手エンジニアの自立の手助けとなっている印象です。

 

―エンジニアのスキルを可視化するためには、GitHubのコードレビューだけでは不十分ですか?

採用に絞ってお話すると、GitHub採用では、オープンソースで活動している人は提出できますが、国内エンジニアのGithub利用者はまだまだ割合は少ないと言われており、一般的なフローの中にGithubを必須提出にするようなフローは公平性が保ちにくいという課題があります。

また、一人一人の書かれたコードを読み解くのにも時間がかかってしまいます。
本質的なことを言うと、全てのエンジニアがGithub等でソースコードを公開している環境で、コードをしっかりと読み解き、自社に最適な人材を見つける、ということに時間が使えるエンジニアが社内にいるのであれば、それをお勧めします。

ただし、すべての企業において、人事部に強力してくれるエンジニアがたくさんいる訳ではなかったり、ソースコードのレビューに一人一人時間をかけられないという企業も多いです。

そのため、エンジニアがあまり人事部で面接に工数がかけられなかったりする企業や、一人一人のソースコードをレビューする時間が取れない企業に対して、スキルベースでの採用を実現する支援をするためのツールとして業界では認識いただいています。

―trackを使って人事がエンジニアのスキルをチェックする時に心掛けるべきポイントはありますか?

人事がスコアで評価して合否を決めることができるというのももちろん価値ではあるのですが、社内エンジニアにソースコードを見てもらい、技術面でもスキル評価をしやすくする機能も充実しています。
選考の効率化のために足切りをするという意味ではスコアを活用して自社の選考基準を作ることもできますが、ソースコードの中身を見てもらうことで、可読性や論理的思考、チーム開発経験などを読み解くことができますので、現場エンジニアの方にとっても、「エンジニアを正しく理解できる」ツールを目指しています。

 

ーtrackを活用することでうまれる新たな採用や育成の在り方を教えてください

LINE社が、trackを活用して通年採用する仕組み「Re-Challenge制」を打ち出しています。この制度では、技術テストを通過できなかったエンジニアにも、数か月後のテストで再度採用のチャンスを得ることができます。
企業側は、スキルアップしたエンジニアの採用、という人材確保だけではなく、面接では測れなかった”伸びしろ”を確認することもできるのです。また、ワークスアプリケーションズ社、富士フイルム社は、新卒段階から職種別選考採用を目的にtrackを活用しています。現在は、エンジニアに求められる領域が、AI、ブロックチェーン、セキュリティと幅広く、一括りにできなくなっています。そこで、将来的な仕事の適性を見据え、職種別にテストの問題を変える、ということも行っています。

 

―他システム連携や新機能開発で予定していることを教えてください。

今は社内アセスメントや選考にフォーカスしていますが、今後は、研修、人材育成にも注力していく予定です。まずは自社サービスCODEPREPとのさらなる機能統合を進める予定です。


trackプレスリリースより(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000002454.html)より

また、採用管理ツールのSONAR( イグナイトアイ 社)との外部連携も開始しました。この連携では、SONAR上に登録した学生にtrackからテスト問題を配信し、そのテストの採点結果をtrackからSONARに戻す、そして、学生情報とtrackで取得したプログラミングスキル、ソースコード情報などの解答データをSONAR上で一元管理することができる、というわけです。
※2018年4月25日にSONARとの連携を発表した