HR Techナビでは、国内外のHR Techに関する最新トレンド、活用事例などHR Techに関わる人にとって役に立つ情報をお届けいたします。

動画面接を導入することで志望度の高い人を採用できる – となりのHR Tech –

人事を支えるHR Techサービスの可視化をテーマ人事担当者にどのようなサービスを使っているのか伺う、「#となりのHRTech」。今回は、株式会社揚羽 人事部マネージャー 米田さんにお話をお聞きしました。

採用面接においては、担当者との日程調整や、遠方の候補者との面接にかける時間とコストに課題を感じている企業も多いかと思います。そんな中、1次面接に、録画による面接と評価(HireVue)を導入した揚羽さんは、どんなキッカケで導入を決め、どんな効果が出ているのでしょうか。

インタビューした企業:株式会社 揚羽

https://www.ageha.tv/

「インナー&アウターブランディング」、「採用ブランディング」、「マーケティング・コミュニケーション」の3つの事業領域において、様々なソリューションを提供しています。

(社員数)100名程度
(人事数)3名(兼務込み)

インタビューした人:米田 峻さん(人事総務部マネージャー)
(Twitter)@Ageha_Yoneda
(Facebook)https://www.facebook.com/shun.yoneda.52

2008年から新卒採用を始めた揚羽さんですが、新卒の採用に関しては、管理には採用一括かんりくんを利用しているとのことです。

「新卒は、現在10~15名採用している。基本的には、イベント→インターンシップ→選抜インターンシップ→面接→採用というフローを踏んでいます。」(米田さん)

中途採用の採用管理には、ジョブカン採用管理を利用していますが、入り口にはエージェントも利用しており、1次面接にHireVueを利用しているとのこと。企業の採用ブランディングなどを手がける揚羽さんが、HirevVueを導入した背景や、活用事例を詳しく掘り下げていきます。

HireVueは、あらかじめ設定された設問に対し、候補者の回答を録画する新しい面接手法を実現するサービスです。録画により、応募者、採用担当者ともに、時間や場所を気にせず面接することができます。日本では大手企業を中心に70社以上が導入しています。AIによる面接選考支援もあるが、揚羽さんは利用していないとのことです。

 

ー HireVueを使い始めた理由は何ですか?

「企業の採用ブランディングを自社でやってることもあり、顧客のニーズに総合的に応えたい。という思いがありました。顧客には、面接に人が足りていないというニーズもありました。

そこで、HireVueをクライアントに提供することも考えられるので、まずは自社の採用面接で使ってみようというのが経緯です。今年の4月から使い始めました。

さらに、HireVueを導入前は、中途の1次面接は直接お会いしてやっていましたが、どうしても時間が合わないなど課題があったので、その1次面接の効率化という目的もありました。」(米田さん)

 

ー どういう運用をされていますか?

「エージェント経由の応募者は、レジュメを提出していただき、営業職はHireVueで1次面接、クリエイター系は、直接お会いして面接しています。クリエイターの方は、誰と働くかを応募者自身が重視されるので、直接お会いするようにしています。」(米田さん)

 

ー これまで何名ぐらいをHireVueで面接しましたか?

「4月から実際に導入して、20~30名の面接をHireVueで行ってきました。」(米田さん)

 

ー 導入してみて、どういう効果がありましたか?

「地方からの応募者の面接がスピーディになりました。また、都内の面接では、1次面接で録画面接にしているので、『それだったら受けないです』という方もいます。機会損失につながっているかもしれませんが、結果的に志望度が低い人のスクリーニングにもなっています。

また、2次面接を担当する部長クラスの担当者が、応募者のレジュメだけではなく、雰囲気も含めて分かるので、面接官が応募者をしっかり理解した上で、面接に臨みやすくなりました。

さらに面接録画機能もあるので、面接官にPCを持ち込んでもらって、面接中の様子を録画できます。それによって、採用担当者同士で暗黙知になっていた部分を形式知にすることができています。

また、HireVueでは、ただ動画を撮影して送ってくださいというだけでなく、自社の映像やオフィス内を見れるようにしてるので、動画を見て志望度が上がったという人もいます。」(米田さん)

 

ー 気になる改善点などはありますか?

「管理システムとの連携ができると助かります。面接管理はHireVue、人の管理は他の管理システムとなると、管理に工数がかかってしまいます。」(米田さん)

  

揚羽さんは、自社で企業の採用ブランディングを手がけられていることもあり、その中でクライアント企業に提案することにもなるかもしれないので自社で利用してみるという実験的な理由と、これまで中途採用の1次面接を直接会って行っていたため、日程調整が難しいなどの課題解決のためにHireVueを導入したことが分かります。

結果として、

①日程調整に時間を割かなくてよくなった
②志望度が高い方のみが応募してくれるようになった
③自社のことを理解できる動画も差し込めるので、そこで志望度が上がる方も出てきた
④2次面接を担当する面接官が応募者をしっかり理解した上で面接に望めるようになった
⑤面接の様子を録画することによって暗黙知が形式化され始めた

といったことが、HireVue導入によりもたらされました。

 

HireVueの他に、人事業務で使用しているサービスを教えていただきました。

求人系:Wantedly

Wantedlyは、月間200万人が利用するビジネスSNSで、有名企業やベンチャー・スタートアップなどの様々な企業/人材と繋がることができます。

「現状、広報目的が強い。新卒に対してはブランドが作れてきているが、中途は少し弱いので意識的に自社内で改善していく。」(米田さん)

 

新卒の採用管理:採用一括かんりくん

採用一括かんりくんは、新卒採用における、クラウド型一元管理システムで、2019年5月現在で、486社が導入しています。ナビサイトなどからのエントリーやイベント経由の応募者などを一括で管理することができます。レバレジーズやアカツキ、オプト、フリークアウトといった企業が導入しています。

クローズドSNS、内定辞退危険度チェック、イベント出欠管理といった機能で、内定者フォローもできます。

「新卒採用で使用。安くて機能もわかりやすくて使っている。改善対応も早くて非常に良い。」(米田さん)

 

中途の採用管理:ジョブカン採用管理

ジョブカン採用管理は、戦略的な採用をサポートするためのクラウドシステムで、新卒・中途・パート・アルバイト全ての採用に対応しています。2019年1月時点で、2700社に導入されています。

「中途採用で使用。エージェント連携は非常にしやすいので使い勝手が良い。」(米田さん)

 

エンゲージメント:wevox

wevoxは、組織の状態を可視化し、エンゲージメントにおける課題の特定と、改善策を実施することで組織改善のサイクルを生み出すサービスです。600社以上の企業や組織が導入しています。

「インナーブランディングを事業としても行なっているので、組織エンゲージメントの向上が売上向上につながるということを立証したい。『エンため委員会(エンゲージメントをあげるための委員会)』というものを横断的に発足し、活動中。」(米田さん)

 

人材開発/人材育成:研修素材.com

研修素材.comは、従業員のスキルアップを加速させるクラウド型研修メディアで、研修の内製化を促します。運用方法や解説動画、素材をダウンロードし、そのまま研修をすることができます。

「研修の内製化を図るために使用。今まで職務上のスキル研修は行ってきたが、ビジネススキルの研修は少なかった。上質なコンテンツを提供しつつ、内製化を図れればgood」(米田さん)

 

労務管理:クラウドサイン

クラウドサインは、クラウドベースの電子契約システム、文書管理サービスで、2019年1月時点で30,000社以上の企業が導入しています。物理的な紙と印鑑を使わずに契約を締結できます。

揚羽さんで主にクラウドサインを使うご担当者にお聞きすると、サービス導入の経緯は、ペーパーレス、印紙・切手代削減、郵送の手間が減る、承認経路が残る、書類管理が楽などを理由が挙げられました。

メリットとしては、上記の理由と、シンプル。過去の書類を探しやすい。

デメリットとしては、「クラウドサインは発展途上なので機能が少ない(シンプルとも言える。)書類の整理機能がない。誤送信したものも分類できずに残る(重要書類なのであえて消えないようにしているらしいです。ただキャンセルフォルダくらいはあっても良いと思う)」とご回答いただきました。

また、「電子契約を導入している会社が少なくて断られる。まだまだ使える場面が少ない。」とのことでした。

 

サービスの選定基準

様々なサービスを駆使する米田さんに、サービスの選定基準をお聞きしました。

「導入コストと削減コストの比較ですかね。投資対効果がメインです。後、そのサービスを使うことによってブランドの形成に寄与する可能性があるのであれば、そういった部分を加味して検討します。」(米田さん)

 

HR系の情報収集方法

情報収集には、まずはTwitterを挙げてくれました。

「基本的にはツイッターです。自分でも発信しています。」(米田さん)

Facebookのグループも使っているとのことですが、人事の方と直接お話しする機会が多いとのこと。

「定期購読している雑誌などはあまりありませんが、人事の方々と直接話す機会が多いです。また、企業の採用ブランディングなどを自社で手がけているので、社内に詳しい人がいるので、その方々に聞いています。」(米田さん)

上記のように、企業の採用ブランディングなどを手がける企業ならではの情報収集方法も伺うことができました。

 

今後検討しているサービスやHR Techサービスに求めるものは?

「他のサービスも検討しているが、大きく困ってる部分があるわけではなく、2年間使ってきたから、他に最適なサービスがあるのでは?という感じです。

ただ、採用管理のサービスでいくと、一覧性に乏しい点が気になっています。応募者個人の管理はしやすいですが、誰がどこまで面接が進んでいるかなどを、結局エクセルで作成してしまっているので、そこが解決できるサービスがあれば使いたいです。

また、人事評価のサービスで、セプテーニさんが出しているHakase miniをチェックしていました。

データを入力すると、メンバーそれぞれのフィードバックシートと育成プランを出力してくれます。ヒューマンロジック研究所のFFS理論をベースに作られています。

アルムナイやリファラル採用などのサービス導入はまだ考えていません。」(米田さん)

 

録画を使うことによる面接の効率化とコストの削減は実現できていますが、採用全体を通して課題になっているのは、応募者それぞれ面接の進行具合を、一覧で表示する機能の有無ということが分かりました。また、採用は採用、面接は面接でそれぞれ違った管理システムを使っているため、管理システム同士の連携が求められています。

===

現在、#となりのHRTech に出ていただける経営者や人事担当者を募集しております。ご協力いただける方は、こちらからお問い合わせください。