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調達総額200億円以上!2019年上半期(4月~9月)に資金調達をしたHR Techベンチャーまとめ

2019年上半期(4月から9月)にかけて資金調達をしたHR Techベンチャーを、プレスリリースやメディアでの記事など公表されている情報をもとにまとめました。
※記事の一番最後に、案件ごとの調達額や調達先などをリストで掲載しています。

2018年の情報はこちら
https://hrtechnavi.jp/news/funding-2018

2019年4月~9月までの間に、企業数34社、案件数37件の資金調達がありました。未公開金額を除く調達総額合計は、約212億円です。

 

2018年上半期と2019年上半期の資金調達額、企業数、案件数の比較

2018年上半期(4月から9月)の調査結果(企業数:19社、案件数:20件、未公開金額を除く調達総額合計:約213億円)と比べると、2019年では、企業数、案件数ともに増加しましたが、調達総額は昨年からほぼ横ばいです。

調達額に関しては、未公開のものもあるので、一概には比べられませんが、企業数と案件数共に昨年に比べて約1.8倍になっています。HR Techベンチャーへの投資は加速していると言ってもいいでしょう。

次に、2019年上半期の間に、10億円以上の大規模な資金調達をした企業を見ていきます。

 

10億円以上の大規模な資金調達を実施した企業

2019年4月~9月の間に、10億円以上の資金調達を実施した企業は下記の通りです。

 

・株式会社SmartHR 総額約61.5億円

クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供する株式会社SmartHRは、シリーズCで合計約61.5億円の資金調達を実施しました。今回の調達資金は、SmartHRの開発費、人材の採用費・人件費、およびマーケティング費用への投資に利用されるとのことです。

リリース:
SmartHRが約61.5億円のシリーズC資金調達を実施(2019/7/22)
https://smarthr.co.jp/news/press/20786

 

・VISITS Technologies株式会社 総額約22億円

事業アイデアの定量化を行う「ideagram」などを提供するVISITS Technologies株式会社は、約22億円の資金調達を実施しました。今回の資金調達により、プロダクトの開発体制を強化し、事業展開スピードを加速させるとのことです。

リリース:
VISITSが総額約22億円調達。官公庁及び大手60社と共同でイノベーションテックの研究開発を加速。(2019/7/25)
https://visits.world/archives/1715

 

・株式会社エクサウィザーズ 総額約15.8億円

AIをフル活用したクラウド型の人事支援サービス「HR君」などを展開する株式会社エクサウィザーズは、既存株主を含む合計6社から総額約15.8億円の資金を調達しました。パーソルホールディングス株式会社は、PERSOL INNOVATION FUND合同会社を通じて本出資を実施し、業務提携しました。今回の業務提携の目的は、下記2つです。
1.パーソルグループ 既存サービスのAI活用によるデジタル化の加速
2.「HR君」をベースとした人事部門の生産性向上や従業員の働きがいを支援するサービスの共同開発

リリース:
AIベンチャーのエクサウィザーズ、パーソルグループと資本業務提携(2019/7/18)
https://exawizards.com/archives/6702

 

・株式会社Payment Technology 総額14.5億円

給与日前に働いた分の給与を好きなときに受け取ることができる福利厚生サービス「前払いできるくん」を運営する株式会社Payment Technologyは、2019年4月15日に、銀行からの融資で総額12億円の資金調達を実施し、さらに7月1日にも、銀行からの融資で2.5億円の資金調達を実施し、合計14.5億円を調達しました。今回調達した資金は、「前払いできるくん」の拡大に使用されるとのことです。

リリース:
前払いできるくん GWに向けて12億円の資金調達を実施(2019/4/15)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000019834.html

“前払いできるくん”資金調達額累計15億円を調達(2019/7/1)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000019834.html

  

・株式会社POL 総額10億円

研究内容をもとに優秀な理系学生をスカウトできる新卒採用サービス『LabBase(ラボベース)』を提供している株式会社POLが、シリーズAで10億円の資金調達をしました。今回の調達資金は、主に『LabBase』の事業成長に必要なマーケティング強化と人員強化に活用するとのことです。

リリース:
研究者の課題を解決する“LabTech”のPOL、10億円を調達–理系学生採用サービスなど(2019/9/17)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000020282.html

 

上半期最大の資金調達を実施している株式会社SmartHRは、2019年に初の地方拠点となる関西支社を開設し、また、子会社として株式会社SmartHR Insurance、株式会社SmartMeetingの2社を設立しています。

ちなみに、2018年の上半期(4月~9月)に10億円以上の資金調達した企業は4社で、全体の資金調達金額の約80%を占めていました。
2019年の上半期に10億円以上の資金調達金額をした企業は5社で、全体の資金調達金額の約60%でした。

【参考:2018年上半期に大規模な資金調達を実施した企業】
・freee株式会社:約65億円
・株式会社FiNC Technologies:55億円
・株式会社あしたのチーム:32.5億円
・株式会社ヴォーカーズ(現オープンワーク株式会社):22.5億円

 

次に、カテゴリーごとの資金調達額を見てみましょう。

カテゴリーごとの資金調達額

2019度上半期のカテゴリーごとの資金調達額の総額は下記の通りです。()内の企業は、調達金額が未公開の企業数を除いた数。

求人 約20.25億円(6社)
採用 約19億円(7社)
エンゲージメント 約77億円(15社)
労務管理 約91億円(6社)
People Analytics 0.6億円(1社)
アウトソーシング 約3.6億円(1社)
HCM 総額1億円(1社)

これらを見ると、「エンゲージメント」「労務管理」のサービスを提供する企業の資金調達額が大きいことが分かります。特にウェルネス系のサービスを提供する企業が多く資金調達を実施しています。ウェルネスだけで調達件数は10件(調達金額未公開を含む)、金額は約20億円(調達額未公開を除く)です。

 

また、2018年上半期のカテゴリーごとの資金調達額・企業数と比較すると、「採用」「エンゲージメント」「労務管理」において、資金調達を実施した企業が多いことが分かります。
特にエンゲージメントサービスを提供するHR Techベンチャーへの投資が顕著です。「人材の定着」というのが企業の大きな課題となっていて解決に寄与するサービスが求められていると考えられます。

企業ごとの調達額/カテゴリー/調達先などのリスト

HR Techベンチャーの資金調達についての記事は、今後も半期に一度公開予定です。