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Twitter採用の良いところ、つらいところ

ビジネスSNSといえばFacebookという風潮があったなか、Twitterを採用活動で活用する経営者や人事担当者が増えてきています。
いわゆる、ソーシャルリクルーティングというSNS上で採用活動を行うことですが、リクルートワークス研究所「求職トレンド調査2017」調査によると、アメリカにおいて入職経路の14%がSNSに対し、日本においてSNSが占める割合はたった2%と、日本では海外ほどアクティブではありません。

あるとき編集部がみた一つのツイートが目にとまり、ツイッター採用についての取材が実現しました。

弊社のツイッター採用について誰か取材してくれないものか ( ;∀;)!
今月入社した人の9割がツイッター採用だた— うちむら🚀ジラフ広報 (@kayouchi_job) 2018年10月25日

今回は匿名質問サービス「Peing-質問箱-」等を運営している株式会社ジラフコーポレート本部長の海野さん(@hirochaaaaaaan)と広報・採用担当の内村さん(@kayouchi_job)にTwitter採用についてお伺いしました。なんとお二人ともTwitter転職組です。過去2回に引き続き、今回はお二人の実体験も踏まえ、Twitter採用のプロセスについてお話いただきました。

<今後の公開予定>
1回目:なぜTwitter採用をはじめたの?
2回目:Twitter採用がうまくいくために必要なモノ
3回目:Twitter転職者に聞く、Twitterで採用で採用されるのってどんな感じ?
4回目:Twitter採用の良いとこ、つらいとこ(今回)

Twitter採用の良いところとは?

櫻木:
Twitter採用で良かった点はありますか?

内村:
会えない人に会えるという点が良かった点ですね。
幹部クラスが採用しやすいとか、どんな人かがあらかじめわかるっていうことは麻生も 言ってますね。

内村:
海野さん的にTwitter採用の良かった点とかってありますか?

海野:
みんな本音をつぶやいていらっしゃるので、事前にお人柄が何となくわかるところですね。ビジネス用アカウントの人以外。
私はビジネス用アカウントの人には声をかけないようにしています。

櫻木:
それは本音を言わないとか、人となりがよく分からないからですか?

海野:
そうです、本音じゃないってころがわかるので。

櫻木:
ブランディングで使う場合もあって、「みんなに見られたい自分」を意識して投稿されている方も多いですもんね。

海野:
そうなんです。裏アカウントを見て、声をかけることが多いです。

内村:
うちで採用となると30人とか40人のフォロワーの人とかが多いですね。私もそうでした。フォロワーが40人くらいのときに麻生に声をかけてもらいました。
クリエイティブディレクターの方もフォロワー30人くらいしかいなくて、ほそぼそとやっていたところに声をかけられたりとか。

櫻木:
そのフォロワー30人40人フォロワー時代にいきなり連絡来るってちょっとびっくりしませんか?

内村:
私の場合は麻生さんを知っていたので、そこまで驚かなかったです。

櫻木:
そこは違和感は感じなかったんですね。どこかも分からない会社からいきなり来たってわけではなかったってことですよね。

内村:
エンジニアさんで、わざと麻生に声をかけてもらえるようなツイートをしたら、ほんとに麻生からDMが来たらしくて、そのままうちに入った人もいますね。

Twitter採用の魅力は何よりも早い!

櫻木:
お二人ともTwitter採用で入られたと思うのですが、Twitter採用で心を打たれたポイントとかってありましたか?

内村:
とにかく早いことですね。

海野:
たしかに早いですよね。

内村:
私は2回しか会ってないですし。

海野:
会社のスタンスとして、採用はお互いがジャッジするものなので、向こうからもジャッジされてるっていうのをみんなちゃんと知っているから早いですし、間違わないですね。
なので、そういうスタンスがない会社さまはTwitter採用は難しいと思います。

内村:
私もオファーレター出したいので、履歴書をくださいって言われデータで出しました。
カジュアルで、着飾ることなく等身大の自分でいれました。

櫻木:
事前に履歴書を見て面接を行っているのではなく、最後の内定承諾と手続きのところで履歴書っていうことですね。

海野:
はい、そうですね。人によって順番は前後はしますけど、転職したいですといってDMが来るときは履歴書をくださいって言います。

櫻木:
DMしてこっちからどう?って話をする場合は最後の内定承諾や手続きのところで履歴書を出してもらうんですね。

そっか。すごいですね。みなさんなかなかできないですよね。

海野:
経営陣の意識が違うと思います。

内野:
規模にもよるとは思います。うちは質問箱などありますし
いろいろな要素が組み合わさってTwitter採用がうまくいって良かったなって思っています。

海野:
そうですね。一番、会社の文化に合っているっていうのが大きいですね。

今は、Twitter採用にメンバーが慣れていて、そのフローに上手くフィットしてくれている。そのフローに乗って入ってきてくれた人たちの親和性があるので抜けにくいといういい輪ができていますね。

相手の心のツボを押せるかどうか?

櫻木:
Twitterで採用活動をするにあたって心がけていることはありますか?

海野:
そうですね。これはヘッドハンターだったらみんなやっていることだと思うんですけど、訴求するところを間違えないことですね。本人のどこが気になったかっていうのはすごく書きます。逆に会社の紹介は少しにして。人って自分のことにしか興味がないので、自分のどこを気になってもらえたかっていうことを一番気にするんですよね。なので、その人のことを書いて、会社のことを少し書いて、興味ないですか?というようなアプローチの方法を心がけています。

櫻木:
じゃあ、純粋に採用目的云々はあるけれども、本当に人として一緒に働きたいなと思いました。具体的に○○が気になりました。よかったらご返信お待ちしていますっていうような感じですね。

海野:
はい、そうですね。エンジニアさんだと、だいたいGitHubのアカウントを持っているので、Qiitaのこの記事バズってましたよねっていうようなことを書いたりしてます。

櫻木:
では、けっこう見つけるのにも時間がかかると思うのですが

海野:
そうですね。scoutyさんを使っていたことがあるので、なんとなく使い方が分かってるんですよね。

櫻木:
scoutyさんをつかっていれば、発想は全て分かりますもんね。

海野:
ただ、私がいま欲しいのはエンジニアさんじゃないので、そこは難しいなと思いながら。いろいろなツイートにいいねをしています。DMを送る前にまずいいねとかコメントをして、絡んでからDMをしています。

櫻木:
そうですよね。絡みがないとびっくりしますもんね。

内村:
そういう意味では麻生はほんとに絡みなくDMしますもんね。すごいです。

海野:
でも、それはCEOだから許されると思う。代表だから。

海野:
私、もともとヘッドハンティングをしていたんですが、代表が一番最初に出てくるのは採用しやすいですね。

櫻木:
本気度が伝わりますよね。

海野:
最近、候補者の方にDMをしているんですが、返信率は麻生の方が高いです。

Twitter採用のつらいところ

櫻木:
Twitter採用をしているからこそ困ったこととかはありますか?

海野:
Twitterの仕様の制約ですね。
たとえば、グループチャットにしたとたんに、いままでの会話が見られなくなるんですよね。急に人事とつなぎましたっていうスレッドが出来上がって、前の会話が見れないのはつらいですね。

櫻木:
インフラが全部Twitter上でやってしまうので、採用最適されているツールではないですからね。

海野:
ほかにも、私すごい量のDMを送ってるから、いままでのやりとりがどんどん下にたまっていくんですよ。

櫻木:
ちなみに、1日に何件くらいDMを送られているんですか?

海野:
だいたい20~30件くらいですかね。
あ、あとDM送りすぎて、アカウント一回凍結しましたね。

櫻木:
高頻度でDMを送っていると凍結しますよね。

内野:
麻生がずっとそれをやってきているので、同じ文章で送るよりは変えたほうがいいですよとかアドバイスをしています。

海野:
いま凍結されてメッセージおくれないのでお願いしますみたいなことも依頼されたりしますね。

内野:
他に数値を取るのにどうやっても手動でしかないっているのは一番困まりますね。

海野:
そうなんですよ。KPIを追えないんですよ。どこからが候補者で、どこからが候補者じゃないのかの線引きが難しいですね。いったんこっちから送ってはみたものの、返事がないっていうような人もいっぱいいるんですよね。

櫻木:
何名に送って、何名と会って、何名が入社したかというのが追いづらいですよね。

海野:
いま、経理のポジションを募集していて採用活動をしているのですが、経理や会計士のひとはほとんど返信を返してくれないですね。

櫻木:
課題はTwitter上になかなかいなそうな人といかに出会うかということですか。

海野:
Twitterだとそうですね。職種によって最適化する必要はあると思います。
いま質問箱があるので、Twitter採用やりましょう方向もありやってはみたもののTwitterはバックオフィスの人向けではないよなっていうのが正直なところです。
バックオフィスは別の方法で採用する予定です。
Twitterで採用するとしたらクリエイターさんとかエンジニアさんがやはり相性がいいと思います。

Twitter採用でこれだけはするな!

櫻木:
では、最後に、これからTwitterで採用をしたいと思っている人事の方にアドバイスをお願いします。

海野:
これだけはやるなでいうと、私の採用のモットーでもあるんですが、人事として送るなっていうのがあります。人として興味がある人にだけ送ってます。

櫻木:
結局、人事として送ると採用目的で送ってきてるということを相手が感じやすいので、信頼関係を築きにくいですよね。

海野:
そうですね。そもそも採用目的ではないこともありますし。一応堅めのメッセージは送るんですが、「人事」というのは送らないようにしています。ジラフの海野ですというようにしています。

櫻木:
内村さんは何かありますか。広報とかをしている分、何か気づくことは?

内村:
私はメンバークラスなので、フランクにしています。会社感があまり出ないようにというのは意識しています。内村という個人でみなさんとつながれたらいいなと思っています。基本的には人と人のコミュニケーションという気持ちです。
Twitterでつながった人と職種関係なくごはん行くことも多いんですが、採用とか転職なんだってことを念頭におかずとも、相手が自分の会社のことや自分の仕事を魅力的だと語っていたら、その人が魅力的じゃないですか。

(編集:櫻木諒太 文:小水流佳菜)