2017年10月、今年で20回目の開催となる「HR Technology Conference & Expo」がラスベガスで開催された。
その中でも、「Discovering the Next Great HR Technology Company」という「次世代のHR Tech企業の発見」と題したメガセッションで、「Blueboard(ブルーボード)」という2013年創業のベンチャー企業が優勝を飾った。
なぜ「Blueboard(ブルーボード)」がそこまで評価されたのか。今回は、サービス内容の特徴を掘り下げて行く。
「BlueBoard」は、サンフランシスコに本社をおく2013年創業の企業。現在までに、総額$2,075,000を調達している。
先月アメリカのラスベガスで開催されたHR techカンファレンスのメガセッション(Discovering the Next Great HR Technology Company)にて、40%の投票を獲得し、優勝。
従業員に対して、報酬としてギフトを贈るという新しい形式の福利厚生サービスである。
報酬として贈ることができるギフトが体験に限定されているのが特徴で、『ジェームズ・ボンドに1日なれる』『カヤックができる』『コンサートに行ける』『ヨガ教室に行く』といったアクティビティを、従業員本人が選択できる。
(BlueBoardの概要図)
BlueBoardは、マネージャーから従業員に向けて、”体験”という贈り物をする点が特徴。
どうすれば、従業員の仕事に対するモチベーションが上がるか?と言う質問に対して、本人が「感謝されている/認められている」と感じることだと、BlueBoardは説明している。
(モチベーションが上がる要因)
これらにより、①エンゲージメントが上がる②離職率が下がる③顧客ロイヤリティが上がることが分かっている。
ギフトカードや現金などの”モノ”の贈り物は、非常に短期的で思い出に残らず、かつ何に使ったのかさえ忘れてしまうが、アクティビティ(体験)は、より個々に合わせることができ、より思い出深いものになる。
さらに、誰かに共有したくなるのが、”体験”の特徴である。
特にミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた人)は、「モノより体験」を重視することが分かっており、特別な(豪華な)ディナーや料理教室といった”体験”を与える方が、従業員としての生産性や忠誠心がより向上する。
社員を褒め続け、承認欲求を常に満たすような会社は、社員の生産性が高く、会社の売り上げも向上するという調査結果がある。
参考:HR Techで成果のあがる組織と人をどう作るのか?【HR Tech90イベントレポート】
(導入事例)
BlueBoardは社員が従業員のエンゲージメント向上目的で活用されている。
紹介する導入事例では、BlueBoardの利用により、エンゲージメント向上だけでなく、採用や人事業務の生産向上に寄与していることがわかる。
①企業内の承認文化が醸成された
②リファラル採用の増加に繋がった
③マーチャンダイザー(MD)が満足するインセンティブを得ることができるようになった
④大規模の企業でも、より個々人に合わせた報酬が設定でき、管理時間の短縮につながった
BlueBoardが評価されている理由は、社員のエンゲージメントを上げる方法として「金銭やギフトカードなどの報酬」から「体験(アクティビィティ)の報酬」に価値観を変えた点にある。
アクティビィの体験者が自発的に、社内のコミュニケーションツールなどで、自分の体験を共有することもあるので、それがまた本人の承認欲求を満たし、チームビルディングにも繋がる。
まさに、従業員にも、組織にも、全ての人に得があるサービスなのである。
BlueBoardが目指す、報酬としてのギフトの最適な形は、①記憶に残りやすく②より個々に合わせやすく③共有しやすいという3つをクリアしたものである。
(報酬の設定画面)
報酬を与えたい従業員がいる場合、①誰に②どのレベルで③何に対する評価として送りたいのか(例:3月の営業成績がトップだったから、など)を入力して、オンライン上のプラットフォームで送信すると、対象の従業員にメールが届く。
従業員はメールでギフトをチェックし、自分が好きなアクティビティ($150~$25,000の価値があるもの)を選択することができる。
(アクティビティ選択画面)
BlueBoardのアクティビティの数は現時点で数百に及び、20の国で使える。
さらに専用のプラットフォームで管理しているため、過去に同じアクティビティを体験した人の感想なども見ることができる。
アクティビティを体験する従業員一人一人にBlueBoardのスタッフが付き、旅程などを設定をサポートしてくれる。
日本でも「asoview!(アソビュー)」や「TABICA」のような体験型の旅行などを提供するサービスが注目を浴びている。
「モノからコト」への価値観の変化は当然組織エンゲージメント向上の施策に反映していく必要があるだろう。日本では組織エンゲージメント向上のためのクラウドツールとしては「TUNAG」が名古屋発のベンチャースタメン社から提供されており、体験型のギフトとしては「Sow Experience」というサービスがあるが、健康経営の関心の高まりや人材確保のニーズもあるため今後多様な組織エンゲージメントサービスがでてくると予想される。
様々な研究結果を組み合わせ、「金銭やギフトカードといった”モノ”の報酬」から「”体験(アクティビィティ)”の報酬」という新たな価値を創造した「BlueBoard」の今後に期待したい。
人材の流動化による離職率の上昇と少子高齢化による人手不足の深刻化を起因として、企業にとって人材の確保は重要な課題の一つです。
このような背景で注目を集めている「エンゲージメント」。
個人の企業に対する愛着や帰属意識とも解釈されますが、組織と個人が同じ目的に向かって成長し貢献しあう関係のことを指します。
従業員エンゲージメントを高めることで社員定着率アップをはじめとして経営にポジティブな影響を与えることができます。
今回は「組織・従業員エンゲージメント」をテーマに、企業と社員の絆を深め、さらなる成長を実現するための手法についてお伝えいたします。
日時:2018年1月23日19時〜20時30分(18時30分開場)
場所:港区赤坂3-17-1 いちご赤坂317ビル 5F
参加費:
前売り 500円 通常 1000円
主催:一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会