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2年間で5名から200名規模の会社へ~ 保育士不足に打ち克つ大阪発の企業の取り組みとは?~

待機児童数解消に向けて急速に施設の整備が進む一方で、保育士不足が深刻化している。
保育士の有効求人倍率は年末年始にかけてピークを迎えるが、全国平均で2016年2.76倍に対し年2017年12月3.4倍にまで跳ね上がっている。
このような中で保育士の採用に成功をしている企業が大阪にあるAnimo株式会社だ。
今回はAnimo社で採用や人事を担当している、統括講師飯端里香氏と西日本統括部長佐橋葉子氏にお話を伺った。

Animo株式会社について

Animo株式会社は2016年に社員5人から創業。「心を尽くす」という企業理念のもと、「大人の夢を応援する会社から子どもが夢みれる社会」の実現を目指している。
事業内容は企業研修、人材派遣、マナースクール、保育運営の大きく4つで、保育運営に占める割合が大きい。新聞やテレビなどのメディアにも取り上げられており、社内託児所部門でホワイト企業アワード賞の受賞歴のある企業である。
URL:http://animo-group.co.jp/

ホワイト企業アワードとは

ホワイト企業アワードとは、家族にも入社を勧めたいような素晴らしい会社、次世代に残る素晴らしい会社の促進になるべく、模範となる組織体を世間に認知機会の提供を目的とし、年1回日本次世代企業普及機構がホワイト企業を表彰するものである。今回、Animo株式会社がホワイト企業アワードを受賞した第3回ホワイト企業アワードでは、全国で応募総数877社の中から27社が受賞を果たした。
URL:https://jws-japan.or.jp/award/

ホワイト企業アワード受賞のきっかけと変化

櫻木:
ホワイト企業アワードを受賞されていますが、応募したきっかけは何ですか?

佐橋:
弊社の代表が地方で講演した際に、私どもの取り組みに共感いただいた関係者の方から推薦をしていただき応募しました。実は我々は2次応募を通過するまで、代表が応募していたことを知らなかったです。

櫻木:
そうなんですか!

佐橋:
代表から「受かったよ」って聞いたのが、2次応募の締切当日2時間前でした。そこでホワイト企業アワードっていうのがあるんだとそのとき知って、これでもし通過したらすごいよねって話をしていて、飯端を中心に資料を作成し提出したら、そしたらまさかの受賞という。

櫻木:
そうですよね、知らなかったのに・・・ですもんね。

佐橋:
そういった意味では、周りの方々に常に見ていただいていたということでありがたいお話ですね。皆さまから評価していただき、いただいた賞でした。我々としては意図していたわけではなく、真面目に頑張ってやっていたことがつながったということですね。

櫻木:
実際に受賞されてから周りの見る目や社内など変化はありましたか?

佐橋:
見る目でいうと、名刺にホワイトアワード企業のロゴをつけていると、この賞をご存知の取引先の方は反応してくださいます。社内では、今までやってきたことですし、特に驚きもなかったです。

櫻木:
なるほど、意外な答えでびっくりしました。

飯端:
受賞の決め手となったのは働きやすさではないでしょうか。
弊社では、女性の社会復帰をスムーズに実現するために、たとえば小さなお子様がいる方でも安心して預けていただける社内託児設備であったり、時短勤務を積極的に取り入れています。
働く保育士の希望をほぼ100%聞き、それぞれのライフスタイルに合った働き方で勤務していただいています。

また、採用活動をするうえで、有名企業と比べるとやはり知名度は低いですが、実際にスタッフとして働いてみて「働きやすさ」を自分で実感していただいて、そこから口コミで「Animoって働きやすいよ」とご紹介していただくこともあります。その紹介が次第に広まり、一般の方にも「Animoっていいところだよね」と周知していただけるようになりました。

働きやすい環境が採用のプラスに

櫻木
働きやすい環境づくりとして取り組んでいることについてもう少しお聞かせください。

佐橋:
まず、我々は現在のところ保育事業をメインで行っていて、保育士から持ち帰り仕事やサービス残業が多いなど、これまで働き続けることでネックになることを聞いています。
なぜ前職を辞めたのか、その辞めた理由を無くすという仕組みを作れば人は集まるし、定着するはずだと考えました。
そこで、弊社の保育園では、これまで先生たちが懸念されていたことをすべてなくしております。

例を挙げると、今まで日案・週案・月案などのカリキュラム作成の時間は残業になっていましたが、我々は本社一括でカリキュラムを作成したり、持ち帰り作業を減らすために年間の行事を極力少なくしたりしています。

園の中で仕事をするときは雑務をしないで、子どもを見る以外の仕事を与えないようにしています。

櫻木:
保育事業を大きくする中で、保育士にいかに長く勤めていただけるか、新しく入っていただけるかということがポイントですね。

そのためにはこれまで結婚など、保育士の辞めていた理由をお伺いして、それを無くすと結果的に御社で働いて喜んで頂けるし、採用にもプラスになるということで働きやすさに取り組んでいらっしゃると。

佐橋:
そうですね、実際に我々の保育園で働く保育士や看護師は、1歳2歳の乳幼児を抱えている方が非常に多いです。自分の子どもを弊社が併設している保育園に預けて、働くことができる環境を作っています。

櫻木:
保育事業が立ち上がった時から働きやすさというのは意識されていたのですか?

佐橋:
いいえ。試行錯誤ですね。我々はこれまでかなりのスピードで保育園を立てました。この2年間で全国に21拠点で運営を開始し、ピーク時にはひと月5、6園のペースで開園してきました。人事としては、新規の先生がひと月に約20-30名必要となる状態です。

これだけ人を採用していくとなると、かなり苦戦をしまして、定着よりも人を集めることが一番の課題だったんですよね。

実際にひとつ園を建てた後に、園のコンセプトである「保育士が働きやすい環境をつくる」ために、今まで保育士たちが辞めてしまった理由というものを無くす、これだけをやってきました。

櫻木:
その結果、採用にもプラスになって、辞める理由がないから定着することになったんですね。

佐橋:
でも、まだ2年なので、そうなってくれるといいなと思っています。まだわからないので、これからです。

理想は、弊社に勤めて結婚して、出産をしてもまたすぐに戻って来られる環境です。今実際に3名そういった方を輩出してロールモデルもできました。これが続いていければいいなと思っています。

櫻木:
次に雇用形態はどうなっているのですか?

佐橋:
約200名の内、4分の1が正社員です。弊社の正社員として勤務できる条件は、実働8時間勤務ができる方、土日祝日勤務ができる方というものです。これがクリアできたうえで、先生と面談をしていただいて、会社に貢献していただける方であれば正社員となります。

とくに正社員・パートにこだわっている訳ではありません。仕事内容が変わる訳でもないですし、パートでも8時間勤務をする女性も増えてきています。

今、扶養内で働きたいという女性はあまりいらっしゃらなくて、長時間の勤務を希望される方も多いです。同じ社会保険に入って、パートタイム8時間勤務をするのであれば、正社員になってみてはどうですかという提案をすることもあります。

櫻木:
派遣社員の方はいらっしゃいますか?

佐橋:
派遣社員はいないです。正社員かパートですね。

櫻木:
では、時短とおっしゃっていたのは、パートの方が基本になるのでしょうか。

佐橋:
はい。保育士って基本的に、すごく限られた勤務形態を強いられる職業なんですね。というのも、子どもはやはりお昼寝の時間があって、運営される場所にもよりますが、お昼寝の時間の人を少なくするためにお昼寝の時間までで勤務時間が終わるようにする。
そのあとに、長時間の休憩をとらせて後半働かせるという経営者側の目線に沿った勤務時間を強制するところが多いです。

弊社では、お昼寝時間は休憩をする時間と捉えていますので、そこは通常通り勤務していただいても大丈夫です。
今ですと、保育士の中ではあり得ない10時-15時の勤務もできます。
パートの方は、この時間帯で働きたいという方も多く、そこを実現できているという意味では、希望に沿っているかなと思います。

櫻木:
そうですよね、とくにお子様がいらっしゃる保育士は「この時間までだったら働けるのに」というのもありますもんね。すごく働く人目線だと思います。

佐橋:
そうですね。たとえば子どもが帰ったら保育士も帰ってくださいという園も多いですが、弊社ではそういうことはありません。子どもが欠席して職員の数が多くなったとしても、無理に帰っていただくことはありません。その時間でできることをしてもらいます。先生たちが組んだ1か月の勤務時間を会社の都合では変えません。

櫻木:
それはすごくありがたいですね。

佐橋:
一般企業では当たり前の働き方だと思いますが、保育士業界などの遅れている業界では、こういったことはできませんでした。そこを我々は会社が運営しているということを活かして、より企業に近づけた働き方を保育士にお願いしています。

櫻木:
実際に働き方を進めていくなかで、社内で反発等はなかったですか?

佐橋:
良いことしかないので、反発はなかったです。むしろ、正社員とパートの境目が無くなってきていて、パートの方が無理に正社員にならなくても、同じ働き方をするという意味で、我々は正社員が欲しくても、「パートで十分です」とおっしゃってくださるパートの方も多いですね。
ただ、自由な働き方、働きやすさを提供している側としては無理に正社員になってほしいとも思わないですし、先生たちのライフスタイルに合った時期にタイミングを見て正社員になってくれればと思っています。

櫻木:
経営する側としては人員を確保しておきたい。働く側からすると正社員とパートの境目がない関係だからこそ安心して自分にあった形で働けるという見方もあると思います。

佐橋:
そうですね。パートだからといって無責任にされている人もいませんし、そこは会社の理念に賛同して働いてくださっている方ばかりなので安心して任せています。

飯端:
とはいいつつ、働きやすさというところで、パートから正社員になりたいと言ってくださる方も多くて、この1年半で約30人は全国で正社員化しています。

佐橋:
おそらく先に入った保育士の方をみて、子どもがいてもできるっていう事例を皆さんが体感しているので、自立していかれる方が多いのもAnimoの特徴だと思います。

櫻木:
素敵ですね。
会社として安心安全な環境提供しているからこそ、会社と対等に自立した人材として正社員になられるのだと思いました。他に意識的に取り組んでいることはございますか?

成長を目指すためのキャリアアップ制度

飯端:
キャリアアップ制度ですね。私たちはキャリアップのための教育制度が充実しています。パートから正社員に登用する場合は、厚生労働省の有期実習型訓練を積極的に活用し、保育士の養成トレーニング6か月で425時間、事務員は3か月で250時間以上トレーニングをし、すべての訓練終了後にキャリア面談を実施しています。
キャリア面談では、個人のリソースを踏まえ、今後の方向性などについてお話をさせていただきます。総合的にみて正社員として登用すべきか判断をして最終評価者である役員に報告をします。役員会議で正式に承認されれば正社員登用となります。

櫻木:
キャリアアップ制度は雇用形態によらず皆さん対象になるということですね。
キャリアアップ制度を導入したきっかけについて教えていただけますか?

佐橋:
弊社は当初、保育士の募集をかけたときに新卒でも保育士歴10年でも給料に差をつけていませんでした。しかし、園が増え採用が増える中で、長く保育士をやってきた方々から、新卒とは経験がちがうから給料も差をつけてほしいという要望を聞き、ピラミッド型のキャリアアップ制度となりました。

新卒の方も上を目指せるようになっています。
ただ、そのピラミッド制も変わってきていて、9月に大きく変わりました。
定着はおそらく10月になるのではと考えています。

櫻木:
具体的にどのように分けていらっしゃるのですか。

佐橋:
今は8段階に分かれていますが、4,5が施設長、6,7がエリアマネージャー、8が幹部という分け方になっていて、皆さんに目指してもらうのは8までです。そしてその先にまた新たなグレードを作っています。詳しいことはまた公開されると思います。

櫻木:
キャリアアップ制度では、具体的にどのようにして社員の教育を行っていますか?

佐橋:
研修の中身に関しては今後精査していきますが、今実際に行っているのは、サービス接遇検定の受験です。

飯端:
主にキャビンアテンダントやホテルマン、レストランスタッフ、流通業界や今後サービス業界を目指している方々に向けた、サービス提供者としての心構えを育成する目的の検定です。我々はサービス業なので、全社員にサービス接遇検定を取得するように勧めています。
それも一つの評価のグレードとして入っています。
今後エリアマネージャーや施設長レベルには1級を取っていただいて、他の社員のメンターになってほしいです。そして、全スタッフが2級を取ってほしいと思っています。

検定取得以外にも、お客様におもてなしの心を伝えるというところでマナーの部分を徹底してトレーニングを行います。また各拠点のスタッフが常に高い問題意識を持ち、日頃から品質向上を意識した基盤作り、PDCAサイクルを上手く機能させ、それぞれが顧客感動につなげるためのスキルを身につけていただきます。
またパソコンスキルは現代社会では必須ですので、どのスタッフでもある程度できるようになるため積極的にトレーニングを行います。

櫻木:
では、グレードアップする際の評価はどのように行っていますか?

佐橋:
実は、人事評価についても今後の課題の一つです。 今回の見直しでは未経験者であるグレード1の対象者がいないため、まずは皆さんグレード2 からのスタートにしました。
グレード3に上がってく際の段階としては、サービス接遇検定の資格取得をした人を3にあげるなど、先生たちが目に見えて分かるものを現在作っています。

飯端:
今のところ1次評価者は 施設長ですね。 2次評価者はエリアマネージャー 、最終のジャッジは幹部クラスとなっています。今は推薦制となっています。

佐橋:
どうしても保育士は勤務時間が評価基準になりがちですが、それ以外のところで頑張っているところは施設長やエリアマネージャーの推薦と本人との面談で見ています。

櫻木:
女性の多い職場なので、評価の納得性は他の職場と比べると、より求められるのかなと思います。

佐橋:
そうですね、難しいですね。

飯端:
弊社では最近大きく組織再編が行われましたが、その際に他の業界で活躍なさっていた男性の社員も即戦力として入社し、各拠点の現場で活躍中です。
とはいいましても、まだ9割方が女性で、さらに企業組織で働いたことのない人に向けて、キャリア支援制度を作るというのは、浸透させるのにも少し時間がかかることだと思っています。

佐橋:
評価されるということに慣れていない方たちなので。仕事とは、今決められたことを黙々とすることだけが評価されることではないということを気づかせないといけません。

飯端:
女性ばかりの職場では、会社が求めている評価よりも自己評価が高い傾向にある気がします。そういったときに、上司に正当に評価されていないんじゃないかと思われる方もいるかもしれません。
評価者と被評価者の関係性の構築というのが一番大切です。
納得性とは被評価者からの目線なので、信頼関係ができていれば納得性は生まれるものだと思っています。普段からのコミュニケーションが大切ですね。

佐橋:
評価者は実際に現場に入って、同じ仕事をします。同じことをすることで、先生たちの生の声を聞けるのでこれからも残していきたいと思っています。

櫻木:
やはり、会社の成長としては、その人のためにも厳しいことは言わないといけないですよね。そういうときに、この人に言われたら受け入れられるという関係をいかに築くかというところでやっておられるのですね。

飯端:
そこの関係構築は一番大切だと思っていますし実践しております。スタッフに対していつも中立な立場でぶれない自分であるように心がけています。

佐橋:
数字を上げられる職種であれば可能ですが、我々の業界は先生たち一人一人が売り上げを見ることはない仕事なので、自分たちが実際にどれだけのお金を生んでいるのか、損失を出しているのか分からないです。我々は会社ですので、損を出してはいけないわけです。
損を出さないために何をすべきなのかとなると、先生たちがいかに働きやすい環境で働き、それを子どもに反映して、子どもが子どもを連れて来てくれるような長い縁を作っていくことがあなたたちの未来の職場を作っていくことになるということを教えていかなければと思います。

櫻木:
売上をみることができない部分は違いますが、根本はサービス業ということですね。

佐橋:
そうなんです。喜んでもらうための仕事をしなさい。だからその心を理解するためにもサービス接遇検定を受けてもらうんです。

櫻木:
いかにfor youの視点を持ってもらうかですね。

佐橋:
そこはいままでの保育士や看護師の考えとは切り替えていただかないといけないところですね。

飯端:
全社員が忘己利他の精神を持って、業務に取り組んでいただけたらいいなと思っています。

櫻木:
あとは時代も人も変わるので、自分で考える癖が大切なんですね。

佐橋:
そうですね。自分で考えて自分で動ける人を求めています。ただし、間違った方向に動かないようにはしています。

飯端:
求める人材でいうと、若い会社なので、能動的に手を挙げてくださる方を求めています。元々5人から始まったので、考え方がとてもファミリー的で、これは人数が増えても変わりません。正社員だから優遇されるというのもナンセンスですし、パート社員の皆さんにも夢を持って夢を描けるような会社でありたいと思っています。

櫻木:
社員が夢を描けるように、先を見据えるように会社としてサポートしていることはありますか?

佐橋:
パートの方が8時間勤務をしているなら社員になりませんかという案内を差し上げることや、より人を増やしていくことですかね。やはり人を増やさないと無理をしてもらうことになりますので、そういった意味では人材の採用を止めることはありません。

2年間で社員数5人から200人以上に増加した企業の採用方法

櫻木:
ちなみに採用はどのように行われていらっしゃいますか?

飯端:
媒体はいま17社使っています。ハローワークやIndeed、保育士の紹介会社である保育ジョブや保育士バンク、ジョブメドレーなどです。また、栄養士や調理師の募集で何件かお願いしている人材紹介会社があります。

木:
基本的にはこのような求人媒体が多いですか?人材紹介会社を使ったりはしますか?

佐橋:
エージェントを使うのは幹部クラスの人間を採用するときのみですね。あとは、媒体を使って募集しています。ここまで媒体が増えたのもここ最近です。
それまではハローワークとIndeedで200名ほど採用しました。

櫻木:
働いている保育士からの紹介で入られる場合もありますよね?

佐橋:
はい、あります。社内紹介制度というものも作っています。

櫻木:
Indeedを活用してしっかり人が採用できているのがすごいですね。

飯端:
弊社が今一番多いのがIndeedからです。

櫻木:
では、御社が作られているIndeedの募集ページを見て応募される方が多いでのすか?

飯端:
はい、そうです。数で言うと6割がIndeedからです。あとの3割がハローワーク、残りの1割が紹介会社からですね。

櫻木:
Indeedは無料から採用ページ作れて、広告を出しても予算コントロールしやすいですもんね。

佐橋:
そうですね。なので、採用単価が非常に低く採用できてありがたいです。我々が伸びた理由の一つに採用単価を抑えて人を集めることができたということもあります。

保育業界の現場でも活用できるHR Tech

櫻木:
ちなみに、人事業務で使われているサービスなどはありますか?

飯端:
人事採用では株式会社ミライセルフの「mitsucari」を使用して性格適性検査を実施しております。以前は手作業でしていたので、こちらを導入しかなり助かっています。

櫻木:
会社としてある程度求める人材像も固まっているから、mitsucariの診断結果を活かせるということですよね。

飯端:
そうですね。こちらのサービスは、スタッフ同士や施設長との相性も判断でき、実際配属時に起きそうなミスマッチを予め知ることで、受け入れる現場としては事前に対策を練ることもできます。もちろん、採用の可否はこれだけでは判断しませんが、判断材料の一部として使っています。

あと今年6月まで勤怠は紙ベースのタイムカードを使用していましたが、手作業でするためケアレスミスが多かったり、任せるスタッフへの負担が大きかったりしたので、社員数が200名超えになった際に、株式会社ミナジンの「MINAGINE就業管理」を導入しました。

櫻木:
いろいろな雇用形態の方がいらっしゃるので、給与計算も大変ですよね。

佐橋:
そうなんです。ミナジンさんに入ってもらってご指導を受けながら改革中です。うちは、開園時間も園によってバラバラですし、人によって給与にかかってくる倍率もバラバラなんです。人によって給与も違っていましたがキャリアアップ制度を見直したことを機に整理しました。

飯端:
選んだ理由としては、給与明細などWebで確認することができる点、以前は手作業で封入していたため、給与明細がテレコになってしまう人的ミスもありましたが、こういった点も改善しセキュリティ面の強化ができるところ、使い方がシンプルで、誰もが簡単に利用できるシステムである点が導入の決め手となりました。

櫻木:
情報共有ツールとして使われているものはありますか?

佐橋:
はい、社内ツールは株式会社シンクスマイルの「HOMETE」を利用し情報共有をしています。教育のツールとして導入したのはAnimoが初めてで、もともとはアパレルの会社などで人事評価の制度として使われていました。
入社した際に全スタッフにHOMETEに入ってもらい、何かあった時には全園で共有をするということをしています。また、HOMETEに毎日各園の日報をあげるようにしています。

子どもに関しては、先生が子どもに対してコメントが送れます。これまで、保育士や看護師が子どもとやり取りをするのは連絡ノート(帳面)しかなかったのですが、その帳面の枠はとても小さいので、保育士全員が書くことはできません。なので、このバッジを使って1日1つでもいいのでバッジとコメントを送ります。

そして1か月後に成長の記録として紙ベースで出せるので、それを保護者の方にお渡ししています。先生たち同士のコミュニケーションのツールとしても使っています。

櫻木:
せっかくなら気持ちよく働きたいですよね。

佐橋:
そうですね。現場に入ると「ありがとう」や「ごめんなさい」をなかなか言う場面もないので、それを家に帰ってからや帰る途中でも、HOMETEを使うことで関係性が良くなればと思っています。

飯端:
あとはHOMETEと同じ株式会社シンクスマイルの「RECOG」というサービスを施設長クラス以上は共有し活用しております。

櫻木:
こちらも承認しあう文化づくりのものですよね。

佐橋:
そうです。女性って認められてはじめて心ひらくというところがあり、認めてくれない人は敵になってしまう傾向があります。

櫻木:
認めあう文化ができていれば、新しい人も入りやすいですね。
今後取り組んでいきたいことはありますか?

佐橋:
私が今後目指したいのは、こういったサービスを使ってベストチームをずっと受賞している園に対して、何か会社から感謝を伝えることができたらいいと思います。

櫻木:
評価や行動は会社としてやってほしいことをしてくれた時に評価をしてあげたほうが結果として望ましい方向に行きやすくなるので、表彰は大切ですよね。

編集後記

ホワイト企業アワード受賞をきっかけに知った当社。人事施策も変わることが前提で積極的に取り組みをされていて特に採用力の強さを知ったときは正直驚いた。採用力の根底には「保育士にとって一番働きやすい場所をつくる」ために実際に動いていることがあるだろう。
採用の話になると広告の書き方やサービスをどう有効に活用したか?というテーマについて話題にしがちであるが、いま働いている人が安心して働けて紹介したくなるような会社こそ人を惹きつける会社であると原点に気づくことができた取材であった。
(櫻木 諒太)